あなたは、気圧の変化や寒暖差などによって、心身の調子が悪くなったことはありませんか?
私のまわりでもそういった不調でお悩みの方が多く、私自身も経験しています。
もしかしたら、その不調は「気象病」かもしれません。
不調の原因や対処法を知るだけでも、少し楽になりますよね。
今回は、「気象病」とは何か、その原因や予防方法、対策についてお伝えします。
天気と体調の深い関係!?
「雨が降ると古傷が痛む」「季節の変わり目は体調を崩す」
昔から天気の変化と体調が関連していることはよくいわれてきました。
邪馬台国の卑弥呼も「気象病」だった、という話もあります。
天気の変化によって起こる頭痛を持っていて、天気が崩れることを予知できたとか。
「天気を読むことができる」ことは、能力のひとつだったのですね。
あの織田信長も片頭痛を持っていたといわれています。
それは桶狭間の合戦でのこと。
雷雨の中、今川義元の陣営へ奇襲をかけた際に、あらかじめ雨が降ることを予知していたという説があるのです。
気象病によって歴史が動いたという可能性も・・・?
ちなみに私も雨が降るのを体調の変化によって予知することができ、天気予報よりもよく当たります!
また、日本は3日に1度は雨が降るともいわれ、梅雨や台風の時期もありますね。
私たちが天気から受ける影響は大きく、切っても切れない関係のようです。
気象病って、何?
では、「気象病」とはどんな病気なのでしょうか?
天気痛ドクター・医学博士の佐藤純先生によると・・・
気象病とは?
「気象病」とは、気圧や気温、湿度などの天気から影響を受けて、持病の悪化や体調不良を起こす病気の総称。
その不調は、頭痛、めまい、首こりや肩こり、腰痛、関節痛、むくみ、耳鳴り、だるさ、気分の落ち込みなどさまざまです。
特に多いのは頭痛とのこと。
気象病の中でも、気圧の変動がきっかけで特に痛みの症状が強くなるものを「天気痛」というそうです。
これらの不調は、天気の変化が耳の奥にある「内耳(ないじ)」や、自律神経に作用することによって起こります。
ある調査から、日本の20歳以上の人口のうち、なんと1000万人以上が天気の影響を受けていることがわかったそうです。
誰の身に起こっても不思議ではありません。
あなたはどうでしょうか?
気象病チェックポイント
まず、以下のどちらかに思い当たる場合は、天気の影響を受けやすいといえます。
- 天気が悪くなると調子が悪くなる
- 体調によって、天気が崩れることを予測できる
さらに、下記のリストにあてはまるものが多ければ、天気による不調である可能性が高いでしょう。
気象病チェックリスト
- 雨が降る前に頭痛やめまい、耳鳴りがする
- 雨が降る前に眠気やだるさ、むくみがある
- 気圧の変化によって気分の浮き沈みがある
- 新幹線や飛行機に乗ると耳が痛くなりやすい
- 乗り物酔いをしやすい
- 低気圧や台風が来るという天気予報をみると、落ち着かない
- 首や肩がこりやすい、または首を痛めたことがある
- 春や梅雨時など季節の変わり目に体調を崩しやすい
- 暑い時期はのぼせやすく、寒い時期は冷えやすい
- 日常的にストレスを感じている
- 更年期の不調を感じている
いかがだったでしょうか。
天気による不調は、そのつらさが天気によるものであるということを他の人にわかってもらえず、悩んでいる方も多いかもしれません。
体の不調をがまんしていると、心もつらくなりますよね。
気象病は「気のせい」や「心の問題」などではなく、きちんとした因果関係のある病気です。
日誌をつけるなどの工夫により、不調の原因が天気にあるとわかれば、対策もできます。
近年では研究が進み、予防をしたり、天気の影響を受けにくい体を作っていくこともできると考えられているのです。
ただし、頭痛についてはさまざまな要因があります。
強い痛みが長引いたりする場合は自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。
なぜ天気が悪いと調子が悪いの?原因としくみ
では、「天気が悪いと調子が悪い」のはなぜでしょうか。
その原因と気象病が起こるしくみについてみてみましょう。
気象病の3つの原因
主な原因は気圧、気温、湿度の3つです。
- 気圧
天気の崩れに弱いタイプです。
ある調査では、天気の影響を受けている人の約8割が「気圧」の変化によって不調を感じると回答しています。
思い当たる方も多いかもしれませんね。
特徴は、めまいやだるさ、眠気などがあらわれたあとに、頭痛などの痛みが起こることです。
また、天気が悪くなるときだけではなく、回復するときにも不調があらわれることがあります。
飛行機や新幹線、エレベーターなどでも気圧が微妙に変化するので、苦手な人も多いでしょう。 - 気温
寒暖差に弱いタイプです。
昔から気温と体調との関係は研究され、現在では熱中症情報などにも活用されています。
暖かくなると片頭痛などの症状が悪化し、寒くなると肩こりや緊張性頭痛の症状があらわれることが多いようです。
暑くても寒くても、大きな気温の変化によって不調が起こり、気分の浮き沈みにも影響があるといわれています。 - 湿度
梅雨の時期に不調になるタイプです。
湿度が低いときよりも、高いときに痛みなどの症状が出やすくなります。
特に影響を受けるのが、関節リウマチです。
同じ気温でも湿度の高いほうが熱中症になりやすいという報告もあります。
湿度が体に与える影響は少なくありません。
気象病が起こるしくみ
では、気象病のしくみをみてみましょう。
気圧は天気の動きに合わせて変動しますが、その変化を感じとるセンサーが、耳の奥にある「内耳(ないじ)」です。
特に気象病や天気痛のある人はこの「内耳」が敏感で、小さな気圧の変化を感じやすいといえるでしょう。
「内耳」は耳からの情報を脳に伝える役割をしています。
ところが、急激な気圧の低下や上昇を感知すると、それがストレスとなり自律神経のバランスが崩れてしまうのです。
自律神経には、交感神経(体を緊張させ活動的にさせる)と副交感神経(体をリラックスさせ休ませる)があります。
交感神経が優位になりすぎると、痛みを感じる神経を刺激するので、頭痛や関節痛などが悪化。
そして、副交感神経が優位になりすぎると、だるさや気分の落ち込みなどが起こるのです。
また、自律神経が乱れることによって、もともと持っていた心身の不調や疲労が強くあらわれます。
たとえば、女性の場合はPMS(月経前症候群)や更年期障害など。
このように、気象病や天気痛においては、「耳」と「自律神経」が深く関わっているのです。
どうしたらいいの?予防と対策
天気はコントロールできませんが、自分の体を変えることで対処できます。
では、どうしたらよいのでしょうか。
天気日誌をつけてみる
調子が悪いのは天気のせいだと思うだけで、気が楽になりませんか?
まずは、自分が気象病であると理解することが重要です。
そこで、天気日誌をつけてみましょう。
天気日誌をつけることで、天気と症状の関係を客観的に把握することができます。
天気日誌とは、「いつ、どんな天気のときに痛みや症状が出るのか」を記録するものです。
具体的には、以下の項目を簡単に記録します。
②実際の天気
③気圧
④痛みを感じた場所
⑤痛みの強さ
1か月ほど続けると、天気と症状の関連や、具合の悪くなるパターンがわかってくるでしょう。
自分の痛みを見える化することは、適切な対策をとるためにも大きな意味があります。
耳の血流をアップさせる
最も手軽な予防法と対処法は、内耳のある耳の血行をよくすることです。
おすすめの方法を3つご紹介します。
耳のマッサージ
② 横に5秒ひっぱる
③ 下に5秒ひっぱる
④ 横にひっぱったまま、前から後ろにゆっくり5回まわす
⑤ 両耳を包むようにして5秒間曲げる
⑥ 両耳を手のひらでおおうようにして、前から後ろにゆっくり5回まわす
力加減は痛気持ちいいぐらいがよいでしょう。
耳がぽかぽかしてきたら、血行がよくなってきたサイン。
この方法のよいところは、即効性があり自分ですぐにできるところです。
予防効果もあるので、朝・昼・晩の3回程度、まずは2週間~1か月程度続けてみましょう。
耳をあたためる
耳の後ろにある「完骨(かんこつ)」というツボに、ホットタオルやあたたかいペットボトルを当てる方法です。
あたためることで、耳の血行がよくなります。
両耳に交互に当て、耳全体をじんわりとあたためてみましょう。
ツボを刺激する
耳の後ろにあるツボを刺激することで、血行を促進します。
おすすめのツボは、前述の「完骨」と、「頭竅陰(あたまきょういん)」、「翳風(えいふう)」の3つです。
特に「完骨」のツボは、首や頭の血行を改善し、頭痛やめまいにも効果があります。
あたためたり、左右の人差し指で刺激してみましょう。
調子が崩れそうなときにやってみると、効果を感じやすいでしょう。
「乳様突起(にゅうようとっき)」耳の後ろにある、出っ張った骨。
「頭竅陰(あたまきょういん)」乳様突起の上にあるくぼみ。平衡感覚を調整する。
「完骨(かんこつ)」乳様突起から指一本分後ろのくぼみ。首から頭の血行をよくする。
「翳風(えいふう)」耳たぶの付け根にあるくぼみ。全身の血流を改善する。
自律神経を整える
自律神経を整えることで、天気の変化によるストレスに負けない体をつくることができます。
どんなふうに過ごせばよいのでしょうか?
自律神経を整える、おすすめの過ごし方
- 朝起きたらすぐに太陽の光を5分間浴びる
- 規則正しい生活をする
- 1日3食(特に朝食)をとる、腸内環境を整える
- 質のよい睡眠をとる(特に寝る前はスマホなどの強い光を見ない)
- 適度な運動や入浴などで血行をよくする
生活リズムを整え、ふだんから自律神経を整えていくことが大切ですね。
天気を予測して急な痛みを防ぐ
-
- 天気痛予報(スマホアプリもあり)や、天気痛用の耳栓などが開発されていますので、生活に取り入れてみましょう。
- 新幹線や飛行機などは乗る場所を工夫したり、準備をしましょう。
たとえば、新幹線の座席のうち、気圧の変化が最も少ないのは中央付近の車両です。
飛行機に乗る前には酔い止め薬を飲んだり、ツボ(手首にある「内関」のツボ※)刺激、耳のマッサージをするとよいでしょう。
また、エレベーターで10階ほどの移動でも気圧の変化を感じることがあります。
途中の階に止まりながら乗ったり、駅や商業施設などではエスカレーターを使うとよいでしょう。 - 内耳の状態をよくするために、薬の力を借りることもできます。
たとえば、「五苓散」という漢方薬は、内耳の血流改善に効果的です。
また、痛み止めがあることで安心できる場合もありますね。
ただし、鎮痛剤に頼ることは避け、症状に応じて抗めまい薬、酔い止め薬などを処方してもらいましょう。
※内関のツボ
手の内側にあるツボ。
手首を曲げたときにできるシワから指3本分ひじ側に離れたところで、握りこぶしをつくったときに手首に出る2本のすじの間。
酔い止めや吐き気防止、めまい、フラつきに効果的。
もともとある病気や不調を取り除く
気象病は、天気の影響によって、もともとある病気や痛みの症状が悪化するものでしたね。
気象病の症状のもととなっている持病や、ふだんから感じている不調を取り除いていくことも大切です。
天気の影響を受けにくい体にしていくことで心身が安定し、もともとある不調が軽くなることも考えられます。
また、その不調が天気の変化によるものなのか、それともほかに原因があるのか、注意してみていくことも必要です。
天気日誌をつけることで、天気と体調の関連がわかるようになります。
気象病にメリットがあるとすれば、不調を予知できるということでしょうか。
この特徴を生かして、自分の体をコントロールしていけるとよいですね。
症状が気になって不安な場合は、耳鼻科や脳神経内科、頭痛専門医などを受診し、薬や対処法ついて相談してみましょう。
まとめ
私自身も「天気が悪いと調子が悪い」という症状に悩まされていました。
しかし、「調子が悪いのは天気のせいかもしれない」と気づくだけで、気持ちが楽になったものです。
そして、お伝えしてきた予防と対策を実践してみると、天気が悪くても以前より楽に過ごせるようになってきました。
天気と体調の関係を理解し、自分に合った体調管理をしていくことが大切ですね。
また、天気の影響を受けにくい体になるためには、自律神経を整え、もともとある不調をやわらげることも必要になります。
これを機に心と体、生活を見直していけるとよいですね。
天気のせいで調子が出ないときには、ご紹介した方法をぜひ試してみてください。
天気とうまく付き合いながら、快適に過ごせるように心と体を整えていきましょう。
(参考文献:佐藤純著「『天気が悪いと調子が悪い』を自分で治す本」)