あなたは、「よもぎ」にどんなイメージがありますか?
草もちや、よもぎだんごにして食べたという方も多いかもしれませんね。
よもぎは昔から私たちの身近にあり、親しまれてきました。
さまざまな効能があり、心身の健康によいといわれているよもぎ。
私たちが想像しているよりもずっと、すごいパワーがあるのです。
特に、女性のさまざまな不調に効果を発揮することがわかっています。
今回は、よもぎの驚くべき効果や生活への取り入れ方など、知っているようで知らない「よもぎ」の世界へご案内しましょう。
よもぎってどんな植物?
知っているようで、知らない「よもぎ」。
よもぎの歴史や生態、特徴についてみてみましょう。
よもぎは世界中で愛されている
よもぎは、日本のみならず世界中で古くから親しまれています。
日本では「和製のハーブ」といわれ、身近な薬草として知られていますね。
長寿地域である沖縄では、「ふーちばー」とよばれ、昔から用いられています。
中国では、「艾葉(がいよう)」とよばれ、漢方薬として使われてきました。
「艾葉」とは、病を止める葉という意味。
お灸で使うもぐさとしても使われていますね。
韓国では、近年人気の「よもぎ蒸し」や化粧品など、特に女性の健康・美容に活用されています。
ヨーロッパでは多くの効能(特に冷えや婦人科系)があることから、「ハーブの母」「ハーブの女王」などといわれ、広く用いられてきました。
また、学名を「アルテミシア」といい、ギリシャ神話に出てくる月の女神に由来するとか。
まさに、女神のように人々を救ってきたのでしょう。
このように、よもぎは世界中で愛され、大切に受け継がれているのです。
よもぎとは
よもぎは地下茎(ちかけい:土の下で根を伸ばす)で増えるキク科の植物です。
道ばたや、日当たりのよい河原、野原などさまざまな場所でよく見かけますね。
よもぎの食用としての旬は春で、3~5月頃には新芽を摘みとることができます。
夏には1~1.5メートルくらいまで成長し、夏にとれる葉はお灸で使うもぐさの原料に最適です。
秋(8~10月頃)には小さな花が咲き、種ができます。
また、よもぎの種類は多く、世界ではなんと200種類以上!
日本だけでも30種類以上あるのです。
よく知られているのは「カズザキヨモギ」や「オオヨモギ」で、草もちに使われるため「モチグサ」ともよばれています。
ちなみに、よもぎが多く収穫されているのは、新潟県や富山県、石川県、長野県など。
そして、よもぎはとても生命力や繁殖力が強い植物です。
人々はその生命力の強さに注目し、よもぎを生活の中に取り入れてきました。
よもぎには、血をきれいにする作用、デトックス作用、むくみや冷え性の解消、胃腸を整える作用、リラックス作用、美肌効果など、多くの効用があります。
女性ならではの不調に対する効用もたくさんありますね。
お茶にして飲んだり、料理に使ったり、入浴剤や化粧水にしたりと、取り入れる方法もさまざま。
近年ではよもぎ蒸しなども取り入れられ、女性にとって強い味方となっています。
よもぎの特徴
よもぎは食べてもよし、飲んでもよし、つけてもよし、浸かってもよし、香りをかいでもよし、燃やしてもよしの万能選手!
食べる、飲む
よもぎは多くの栄養分があることから、スーパー緑黄色野菜といわれることもあります。
たとえば、食物繊維はほうれん草の約3倍。
鉄分は牛レバーよりも多く、ビタミンやβ-カロチン、カリウムなどがバランスよく含まれています。
独特の苦味もありますが、「良薬口に苦し」といったところでしょうか。
この苦味は調理方法により軽減することも可能です。
また、苦味成分には体を活性化させる効果があります。
つける、浸かる
化粧水や入浴剤として。
抗炎症・鎮静効果があるため、肌荒れやアトピーに効果があります。
また、よもぎ風呂に入るとよく温まるので冷え性にも効果的。
香りをかぐ
アロマとしての効用も。
よもぎにはシネオールやα-ツヨンという精油成分が含まれ、気持ちを落ち着かせリラックスさせる作用、安眠効果などがあります。
これらの精油成分があるのは、虫や雑菌などがいる過酷な環境から身を守るためです。
このよもぎ独特の香りが、強い生命力やさまざまな効用の秘密といえるでしょう。
燃やす
「よもぎ」という名前の由来は「よくもえる木」であるという説もあります。
お灸で使われるもぐさの原料となるのが、よもぎの葉の裏にあるふわふわした綿毛。
この綿毛の中には「ロウ」が含まれています。
火をつけるとロウソクのようにゆっくり燃えるので、もぐさに適しているのです。
また、シネオールやαーツヨンといったよもぎの香り成分も、お灸の効果を高めていると考えられています。
よもぎにはどんな効果があるの?
よもぎには、実にさまざまな効果があります。
詳しくみていきましょう。
こんな人におすすめ!
女性特有の不調や、何となく不調でお悩みの方に。
健康を保ちたい方にもおすすめです。
- 貧血を予防したい
- デトックスしたい
- むくみを解消したい
- 冷え性を改善したい
- 便秘を解消したい
- 胃腸の調子を整えたい
- 美肌になりたい
- 生活習慣病を予防したい
- 更年期障害を改善したい
- 安眠したい
よもぎの驚くべき効果
- 血液をきれいにする・貧血の予防
よもぎには、「緑の血液」ともよばれている葉緑素(クロロフィル)が含まれています。
よもぎに含まれている葉緑素は良質で、体内に吸収されやすいのが特徴です。
取り入れられた葉緑素により、血行が促進され、血が多く作られます。
また、鉄分も豊富に含まれているので、造血作用が促進され、貧血の予防にも効果的。
さらに、ビタミンKも多く含まれているため、血液をサラサラにし、きれいにしてくれるのです。
そして、よもぎは止血作用があり、昔から出産時の止血にも用いられてきました。
良質な葉緑素や鉄分、ビタミンが豊富に含まれるよもぎは、女性の強い味方ですね。 - デトックス
デトックスとは、体内の老廃物や有害物質を排出することです。
よもぎには利尿作用があるので、デトックスがスムーズに行われ新陳代謝が活発になります。
デトックスによって肌の調子も整い、豊富な食物繊維によって便秘も解消。
さらに、ダイエットなどのうれしい効果も期待できます。
女性にとって、よもぎは救世主ですね。
体の中の余分なものを出して、スッキリしましょう。 - むくみの改善
夕方になるとふくらはぎが張っていたり、朝起きたときにまぶたや顔がはれぼったい、などの経験はありませんか?
それは体がむくんでいるからかもしれません。
むくみとは、体の中の余分な水分がたまっている状態です。
よもぎの利尿作用によって、余分な水分を体外に排出させることができます。
また、むくみの原因のひとつは塩分の取りすぎです。
よもぎには、余分な塩分を排出するカリウムが豊富に含まれています。
よもぎ茶やよもぎ蒸しなどで代謝をアップさせるのも効果的です。
積極的によもぎを取り入れて、むくみを解消しましょう。 - 冷え性の改善
冷え性でお悩みの方(特に女性)は、多いですね。
よもぎには血行をよくして体を温める効果があります。
入浴剤として、お風呂に入れて使用するのが手軽でおすすめ。
よもぎの葉を布の袋などに入れ、お風呂に入れるだけです。
体を芯から温めるので、冷え性の改善に効果が期待できます。
また、肩こりからくる頭痛や、腰痛、神経痛などにも効果的です。
冷え性でお悩みの方は、試してみてもよいでしょう。 - 腸内環境を整える・便秘の解消
便秘でお悩みの方も多いですね。
よもぎには食物繊維が豊富に含まれているため、腸をきれいにして腸内環境を整える効果が期待できます。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、よもぎに多く含まれるのは、不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は腸のぜん動運動を活発にさせ、腸内の有害物質や老廃物を外に出す働きがあります。
腸内環境が整うため、便秘の解消や、大腸がんなど腸の病気を予防することにつながるのです。 - 胃の調子を整える
胃の働きが弱っているときには、食欲不振や胃もたれが起こりやすいですね。
よもぎは胃の働きを活発にする健胃作用もあり、消化吸収を助け胃の粘膜を保護します。
食生活が乱れてしまったり、胃腸の調子が悪いときに、よもぎをお茶や料理に取り入れるとよいでしょう。 - アンチエイジング・美肌
気になるアンチエイジングや美肌にも。
よもぎに含まれるβ-カロチンは、体内で必要な分だけビタミンAに変わります。
ビタミンAは、肌ダメージの回復や、肌のキメを整えるなど、肌の老化防止に役立つと考えられているのです。
さらに、苦味成分のタンニンには、肌のひきしめや肌荒れの予防、湿疹やあせもなどの皮膚トラブルを助ける作用が。
また、よもぎには抗炎症・鎮静効果があるので、アトピー性皮膚炎やにきびにもよいとされています。
入浴剤や化粧水として活用するとよいでしょう。 - 生活習慣病の予防
健康に過ごすためには、生活習慣病を防ぐことも大切ですね。
よもぎには気になるコレステロール値を下げる作用も。
よもぎに含まれる葉緑素(クロロフィル)は、血液を作るヘモグロビンを増加させる効果があります。
血液が十分に体内を巡ることによって、悪玉コレステロールを吸着し、コレステロール値を下げることができるのです。
また、よもぎのβ-カロチンには、抗酸化作用で活性酸素を除去し、免疫力を高めてがんを予防する作用があります。
よもぎを活用して生活習慣病から体を守りましょう。 - 更年期障害の改善
よもぎには、自律神経やホルモンのバランスを整える働きがあります。
また、血流をよくしたり、体を温めたりする働きも。
これらの働きによって、更年期障害やPMS(月経前症候群)、冷え性などを和らげる効果が期待できるのです。
特におすすめなのは、よもぎ風呂やよもぎ蒸しでじっくり体を温めること。
よもぎは、女性特有の悩みにも力を発揮します。 - リラックス・安眠
よもぎのさわやかな香りには、気持ちを落ち着かせたり、安眠に導く効果があります。
主な精油成分にはシネオールやα-ツヨンなどがあり、イライラを鎮めたり、リラックスさせる作用があるのです。
神経が高ぶって寝付きが悪く、眠れないときにおすすめです。
おすすめの活用法とは?
よもぎを生活に取り入れる方法をいくつかご紹介します。
まずは手軽にできるところから始めて、少しずつ広げていくとよいでしょう。
草もち、よもぎだんご、おひたし、天ぷら など
春(3~5月)にとれる新芽を使います。
よもぎの香りが口の中に広がり、おいしく食べられますよ。
おすすめは、下処理がいらないよもぎの天ぷら。
よもぎ天ぷらの作り方
<材料>
- よもぎの葉(生)10枚
- 天ぷら粉50g
- 水80ml
- 揚げ油適量
<作り方>
- よもぎを洗い、キッチンペーパーなどで水気をよく拭き取る
- 天ぷら粉と水をボウルでよく混ぜる
- 揚げ油を180℃に熱する
- よもぎを2.の衣につけカリッと揚げて、できあがり
よもぎ茶
よもぎ茶は、手軽に作れるので続けやすいのが特徴です。
私も毎日飲んでいますが、苦味もそれほど気にならず、さわやかな香りでリラックスできます。
暑い時期にはアイスティーにして飲むのもよいですね。
毎年夏バテしていましたが、よもぎ茶を飲むようになってから夏バテしていないことに気づき、驚いています。
また、夜よく眠れず困っていたところ、不思議とよく眠れるようになりました。
ちなみに、よもぎ茶でうがいをすると風邪予防にも効果があるとか。
さまざまな効能があるよもぎ茶を、ぜひ試してみてくださいね。
乾燥させたよもぎの葉を使うと、簡単です。
出がらしは入浴剤としても使えます。
よもぎ茶の作り方
★急須を使う方法★
<材料>
- 乾燥よもぎの葉5g
- 熱湯
<作り方>
- 乾燥よもぎの葉を急須に入れる
- 熱湯を注ぎ、4~5分程度おく
- 好みの濃さになったらできあがり
★アイスティー(水出しよもぎ茶)を作る方法★
<材料>
- 乾燥よもぎの葉5g
- 水1l
<作り方>
- 乾燥よもぎの葉をお茶パックに入れ、ボトルに入れる
- 水1lのうち、200mlを沸騰させる
- 沸騰させたお湯を入れて5分ほど蒸らす
- 5分たったら残りの水を入れ、冷蔵庫でひと晩置いてできあがり
入浴剤
よもぎは、浴用としてもおすすめです。
殺菌作用や、体を温める作用があるので、あせもやアトピー性皮膚炎、冷え性、腰痛、肩こりなどにも効果があります。
体が芯から温まり、ぽかぽかして心地よいです。
さわやかな香りで気分もリフレッシュ。
作り方は2通りありますが、作りやすい方法で気軽に試してみましょう。
入浴剤の作り方
★煮出して作る方法★
<材料>
- 生のよもぎ5~10本(先端から20cmほどの若い葉を使う)
- 水
<作り方>
- よもぎを丁寧に洗い、細かくきざむ
- 鍋に水とよもぎ(お茶パックに入れると便利)を入れ、沸騰させる
- 沸騰したら中火にして、5分ほど煮たらよもぎを取り出す
- 煮汁をお風呂へ入れる
★乾燥よもぎを使う方法★
<材料>
乾燥よもぎの葉20~30g
<作り方>
乾燥よもぎの葉をお茶パックや布の袋に詰めて、お風呂に入れる
よもぎ蒸し
近年、女性に人気のよもぎ蒸し。
よもぎ蒸しとは、韓国に600年以上前から伝わる民間療法です。
よもぎや薬草を煮詰めた蒸気を主に下半身に浴びることで、よもぎの成分を吸収しやすくします。
体を芯から温め発汗を促す作用があるので、冷え性の改善や老廃物の排出、代謝アップ、血流改善などが期待できるのです。
また、子宮を温めたり、女性ホルモンのバランスを整える作用もあるため、婦人科系の不調を改善するといわれています。
よもぎの香りでリラックスできて、ストレス解消にもおすすめです。
よもぎ蒸し体験レポート
実際どんな感じなのか、私自身が体験してきました。
まず、専用のマントに着替えて穴の空いたいすに座ります。
いすの下ではよもぎとハーブが煮詰められていて、その蒸気を40分ほど浴びました。
心地よい温かさと、よもぎとハーブの香りでリラックス。
しばらくすると、驚くほど汗が出て、体の中から毒素が出ていくように感じました。
終わった後は予想以上に爽快感があり、心も体もスッキリ!
その日の夜は久しぶりに熟睡でき、心地よく朝を迎えられました。
初めての体験でドキドキしましたが、とても貴重な体験でした。
今では、心と体のコンディションを整えるために、毎月通っています。
冷え性や婦人科系の不調でお悩みの方はもちろん、疲れが抜けなくて何となく不調という方にも、おすすめです。
(個人の感想です)
よもぎの注意点!
- よもぎはキク科の植物なので、キク科にアレルギーがある場合は使用しないようにしましょう。
- よもぎと葉の形が似ている植物(ブタクサや毒草のトリカブトなど)があるので、間違えないよう十分注意しましょう。
におい:よもぎは独特のにおいがありますが、類似植物にはありません。
形:よもぎの葉の裏には白い綿毛がありますが、類似植物にはありません。 - 過剰な摂取は控え、便秘や下痢・腹痛などの不快な症状が出た場合には、すぐに中止しましょう。
まとめ
よもぎのさまざまな効果や、生活に取り入れる方法などをお伝えしてきました。
よもぎは私たちの生活に寄り添ってくれる万能薬です。
心と体を癒やしたい、体調を整えたい、健康を保ちたい・・・そんなときには、よもぎの力を借りましょう。
きっと力になってくれますよ。
ぜひ自分に合った方法でよもぎパワーを取り入れ、心と体を整えていきましょう。