ふわふわと愛らしく、誰もが触りたくなってしまううさぎ。
鳴かない、飼いやすいというイメージがあり、ペットとして人気の動物です。
実際、ペットショップへ行けば、毛玉のような可愛い子うさぎが販売されています。
しかし、うさぎは本当に飼いやすいのでしょうか?
私事で恐縮ですが、うさぎと20年間暮らしてきた、筆者の答えは「いいえ」です。
うさぎの理想と現実のギャップ
ペットとしてうさぎを検討するとき、こんなイメージがあることでしょう。
- おとなしい
- 懐きやすい
- 発情が少ない
しかし、このイメージでうさぎを飼うと、驚かされることになるかもしれません。
頑固で自己主張の強い子が多い
うさぎの性格や個性は、個体によって様々ですので、一概には言えません。
犬のように吠えたり、猫のように鳴けないうさぎは、いろいろな方法で自己主張をします。
- トイレを持ちあげたり(時々ひっくり返す)、ケージを噛んで揺さぶったりして、ガタガタと音を立てる
- ケージの中でバタバタと走り回る
- 後ろ足をダンダンと踏み鳴らす(スタンピング、足ダン)
正直なところ、かなりうるさいです。
筆者のうさぎには、ソファの上をトイレと決めてしまった子がいます。
匂いなどで誘導しても、うさぎには無駄な抵抗。結局、そこにトイレを置くしかありませんでした…。
決して懐きやすい動物ではない
自然界において、うさぎは弱い生き物。そのため、警戒心がとても強いです。
一緒に遊びたくても、近づくだけで逃げてしまい、がっかりさせられることも…。
うさぎは頻繁に発情する
「うさぎは性欲が強い」と言ったら、驚かれるでしょうか。
弱い生き物であるうさぎは、たくさん子孫を残さなければいけません。
しかも、発情しやすい時期はありますが、基本的にはいつでも繁殖が可能。
年中、飼い主に抱きついて腰を振ったり(マウンティング)、おしっこを飛ばしたり(スプレー)と、発情行動が見られます。
マウンティングの際にかまれたり、スプレーの後始末が大変だったりと、飼い主も苦労が多いものです。
うさぎを買ってはいけないケース(ハード面)
うさぎには前歯と奥歯しかありませんが、一生伸び続けますので、歯をすり減らす必要があります。
これは本能からくる行動ですので、しつけで抑えきれるものではありません。
しかも、うさぎの上の前歯は二重になっており、その破壊力も想像以上なのです。
家に傷をつけたくない場合
柱の角や木の窓枠、段差などは、うさぎの格好の餌食。あっという間にぼろぼろになります。
個体によっては、壁紙を器用に剥がして遊ぶ子も。
だからと言って、ケージに入れっぱなしにしておくのは、うさぎにとって最大の不幸。
出してくれと、ケージの中で騒ぎ始めることでしょう。
家に傷をつけたくない方に、うさぎはおススメできません。
家具やファブリックに傷をつけたくない場合
うさぎの餌食になるのは、家具も同じ。ソファ、いす、テーブル、チェスト……お構いなしに齧ります。
それならと布のカバーをかけると、今度はそれがうさぎのおもちゃに。
引っ張って遊ぶ、縫い目をほどくなど、飼い主が感心してしまうほどのイタズラ上手なのです。
おまけに、これと同じことを、カーテンで行うこともあるのです…。
うさぎを買ってはいけないケース(ソフト面)
うさぎが大変なのは、齧る性質だけではありません。
草食動物であるうさぎは、とてもデリケートな生き物。
犬や猫とはまた違う、草食動物ならではの注意点があるのです。
2泊以上の留守が多い場合
草食動物であるうさぎは、食事から繊維質を摂取して、常に腸を動かしています。
もし、腸の動きが止まってしまうと、うさぎにとっては文字通りの死活問題。腸内細菌のバランスが崩れる、腸の中でガスが発生するなど、大変な事態が起こるのです。
飼い主が2泊以上の留守をする際は、えさや牧草を多めに入れたとしても、切れてしまうことがあります。
食べてしまうだけではなく、暇つぶしに食器や牧草で遊んで、こぼしたり落としたりすることがあるのです。
安心して預けられる方がいないなら、2泊以上の留守が多いお宅で、うさぎを飼うのは難しいでしょう。
排泄物や抜け毛が気になる場合
ほとんどのうさぎは、トイレを覚えることができます。
しかし、きちんとトイレができる子でも、うんちをポロポロと落としてしまうのは、珍しいことではありません。
先述したとおり、スプレーという発情行動も問題のひとつです。
排泄物が気になってしまう方には、うさぎは向かないと言えます。
また、うさぎにも換毛期があります。
抜け毛がおなかに詰まると「毛球症」という病気になりますので、飼い主はこの時期、うさぎのブラッシングをしなければなりません。
小さな体から、びっくりするほどの抜け毛が出ますので、こちらが気になる方もいることでしょう。
うさぎを迎えられるかどうか、よく考えることが大切
ここまで、うさぎを飼うことのデメリットを挙げてきました。
「それなら、どうしてあなたは20年もうさぎを飼っているの?」
お読みくださった方は、そう思うかもしれません。
飼い主に懐いたうさぎと暮らすのは、本当に楽しいものです。
犬や猫より時間はかかりますが、意外なほど、言葉も理解するようになりますよ。
小さな体で喜怒哀楽を表したり、前足で顔や耳を洗ったり、癒しの仕草も満載。
飼い主に甘えるうさぎの可愛らしさときたら、家の傷さえ愛おしくなるほどです。
まずは、ご自身の環境でうさぎを迎えられるか、よく考えることが大切です。
その結果、うさぎを買ってはいけない、という判断になるのも仕方がないこと。
そして、うさぎを飼うと決めたなら、たくさん話しかけながら育ててみてください。
時間はかかるかもしれませんが、きっと、大切な家族の一員になってくれることでしょう。