身近な人との関わりやお付き合いの中で、お祝いの席や突然のご不幸などに接した経験があると思います。
そうした知らせを受けた時には、その場にふさわしい、礼儀正しいマナーが必要とされます。
それがいわゆる、慶弔マナーと呼ばれるものです。
いざという時にマナーを知らず慌てることのないように、
「これだけは知っておきたい基本的な慶弔マナー」についてお話をしていきます。
慶弔とは
慶弔(けいちょう)とは何でしょうか。
あまり使う言葉ではなく、読み方も少し難しいですよね。
「慶(けい)」はお祝いごと、「弔(ちょう)」はご不幸やお悔やみごと、の意味があります。
一般的には、結婚式やお葬式などの儀式のことを言います。
社会人になると、公私にわたって「慶弔」の場面に接する機会も増えることでしょう。
慶事(けいじ)や弔事(ちょうじ)、それぞれの場面にふさわしいマナーを日頃から身に付けておきたいものですよね。
次では、お祝いごとの慶事の場合、ご不幸の弔事の場合に分けて
基本的な知識と必要なマナーをご紹介していきます。
慶事のマナーとは
「慶事(けいじ)」とは、一般的にお祝いごとを指して言います。
その種類は、結婚・出産・進入学・成人・還暦など、さまざまです。
おめでたいことや幸せなことへのお祝いの気持ちは、正しいマナーできちんと相手にお伝えしたいものですね。
お祝いごとでよく使われる、ご祝儀袋の使い方について紹介します。
〈祝儀袋の表書きについて〉
表書き(おもてがき)とは、お祝いの目的を言葉で表したものです。
目的によって、下のように書き表します。
結婚・・・「寿」 「御結婚祝」 「祝御結婚」
出産・・・「御出産祝」
特に指定せず「御祝」とすれば、全般的なお祝いのシーンで使うことができます。
〈祝儀袋の書き方〉
贈る人(差出人)の名前の書き方についてです。
表書きの中央真下に、姓名(フルネーム)を書きます。
もし連名の場合は、右側から年齢、上位の順に名前を書いていきます。
連名は、3人までを限度とします。
グループとして複数人から贈る場合は、〇〇〇一同 と表に書いてから、
全員分の名前を書いた紙を祝儀袋の中へ同封するようにします。
これは、お祝いを受けた人が、誰からもらったのかわかるようにするための配慮です。
筆記用具は、毛筆・筆ペン・黒サインペンなどを使用します。
〈祝儀袋の水引について〉
祝儀袋には、紅白や金銀の ”水引(みずひき)” と呼ばれるものがついています。
水引には2つの形があります。
①「蝶結び」・・・水引の端を引くと、ほどける結び方。いわゆるリボン結びのことです。
何度あってもよい、何度あっても喜ばしいお祝いに使います。
使えるお祝いは、出産・進入学・昇進・長寿 などがあります。
使ってはいけないのは、弔事全般・お見舞い・結婚 です。
②「結びきり」・・・水引の端を引くと、強く結ばれる結び方。
強く結ぶ、一回きり、という意味合いから、主に結婚のお祝いで使われます。
このように、水引の形には意味がこめられているので、それに合った使い方が必要となります。
さまざまな祝儀袋が市販され、迷ってしまうほどたくさんの種類があります。
水引の形にも注意して見ると、今まで気付かなかった、新しい発見があるかもしれませんね。
〈ご祝儀袋のお札の入れ方〉
中袋(封筒)にきれいなお札を入れます。新札が望ましいです。
中袋の表面に差出人の名前・住所、裏面に同封の金額を記入します。
金額は漢数字で書きます。たとえば、「金壱萬円」などのように。
受け取った人が誰にもらった物かわかるように明記することも、マナーのひとつになります。
お札を入れる方向は、お札の人物の絵を上にしてきれいに重ね、中袋に収めましょう。
中袋を外袋で包みます。外袋の下側の折り返しが「上向き」になるように水引で留めます。
弔事のマナーとは
「弔事(ちょうじ)」とは一般的に、人のご不幸やお悔やみごとを指します。
ご葬儀、ご法要、病気見舞い などがあります。
弔事は人生の途中で起きる出来事の中で、大切な位置を占めているものと言えます。
もしも、慶事と弔事が同じタイミングで起きた場合、優先されるべきは「弔事」の方です。
人との関わりを持って生活をしていると、自分の意思とは別に、このようなタイミングが訪れること
もあるでしょう。
主なものとしては、ご葬儀の場面です。
突然の訃報(ふほう)を受けた時には、相手の方に失礼のないよう接することが望まれます。
正しいマナーで、丁寧な対応を心がけたいものですね。
ご葬儀などに必要な、一般的なお香典袋の使い方についてお伝えします。
〈香典袋の表書きについて〉
宗派による分類があります。
①仏式の場合・・・「御香典」 「御香料」 「御仏前」
②神式の場合・・・「御玉串料」「御榊料」
③宗派共通の場合・・・「御霊前」
一般的によく使われるものは下のとおりです。
「御香典」・・・通夜、告別式など仏式の葬儀で使用されます
「御霊前」・・・通夜、告別式など弔事一般で広く使用されます
市販の香典袋には、すでに表書きされているものがたくさんあります。
用途によって、表書きのあるものを購入するとよいでしょう。
表書きの入っていない無地の袋であれば、表書きを自分で記入し、どの場合にも使えます。
突然の訃報を聞いて慌てることのないように、日頃から手元に準備しておくことも大切です。
〈香典袋の書き方〉
表書きの真下に、差出人の姓名(フルネーム)を書きます。
慶事と同じく、連名は3人までを限度とします。
地域等の慣習にもよりますが、名前は薄墨で書く場合があります。(薄墨には、悲しみの涙で墨がにじむ、という意味がこめられているようです)
文房具として、薄墨の筆ペンも市販されているので、用途により使ってみてください。
〈香典袋の水引について〉
水引きの色は、黒白・黄白・銀 です。
形はすべて、「結びきり」となっています。
悲しみの出来事は一度きりで、という意味からです。
〈香典袋のお札の入れ方〉
中袋(封筒)にお札を入れます。弔事の場合、新札の使用はさけてください。
お札を入れる方向は、お札の人物の絵を上にします。
中袋の表面に差出人の名前・住所を、裏面には同封した金額を漢数字で記入しましょう。
外袋の上側の折り返しを「下向き」にして、水引で留めます。
まとめ
基本的な慶事と弔事のマナーについて、お話をしました。
慶事と弔事には、もっとさまざまな形式があるので、さらに深い知識が必要です。
ですが、日常的にこれだけは知っておきたい、ということに絞ってお伝えしてきました。
慶弔のマナーを身に付けるということは、相手を思いやる気持ちにつながります。
マナーを知らずに相手を不快にさせたり、自分自身が恥ずかしい思いをすることのないように、
一社会人として振る舞いたいものですね。
マナーについて知っていたことも、知らなかったことも、ぜひ今から役に立ててみてください。