今回は、中学校の英語の教科書がどのように変わったのか、どのように難しくなったのかを詳しく説明します。
教科書が大きく変わりました。授業はオールイングリッシュを目指しています!
英語の教科書は、有名なところで、
NEW HORIZON(東京書籍)
Sunshine(開隆堂)
NEW CROWN(三省堂)
Here We Go!(光村図書)以前はcolumbus21という名前でした。
があげられます。
公立中学校で使っているのは上記四つのうちどれかになると思います。
どの教科書も、令和3年度から、新学習指導要領によって、大きく変わりました。
今までのような文法中心の指導ではなく、四技能を重要な要素として扱い、使える英語を目指すようになりました。
ですから授業の指標はオールイングリッシュです。
今オールイングリッシュで授業ができている公立中学校なんてないと思いますが、目指すべきはそうなっています。
四技能を強化するための教科書
「四技能」とは、
- 聞く(リスニング)
- 話す(スピーキング)
- 読む(リーディング)
- 書く(ライティング)
の四つです。
四技能のスキルを伸ばすために、どの教科書にもQRコードが貼られ、手持ちのスマートフォンやタブレットで、自宅で自分で教科書のリスニングができるようになりました。
左側に単元で習う文法を含めた例文と本文があります。
右にはリスニングによる聞き取りのページがあり、聞いてみると本文と同じぐらいのボリュームの英文が読まれます。
つまり、内容量が今までの約2倍になっていると言っても過言ではありません。
教科書の難化要素①。単語数の増加
教科書の難化には、二つの要素があります。
ひとつは、単語数の増加です。
これは、英語という科目が、小学校で科目化されたからです。
今までは、小学校で習う英語は科目ではありませんでした。
それが科目としてしなければならないことになったため、小学校の時点で600語から700語の英単語が教えられることになったのです。
ただ、小学校の英語は、どちらかというと「楽しく英語に触れる」という授業だと思います。
英単語を苦労して覚えさせて、英語が嫌いになってしまわないように、きつい努力は課していません。
しかし中学校の先生は、「小学校で習ってきている単語は知っているものだ」として扱います。
今までのように、アルファベットから教える、ということはほとんどありません。
それに加え、中学校の教科書に出てくる単語は、以前の1200単語から1600~1800単語に増えています。
小学校から合わせると、実に最大で2500語程度は覚えないといけないことになったのです。
難化要素② 文法事項の増加
中学校で習う文法も増えました。
高校で習っていた文法が、中学校で習うようになったのです。
具体的には、
- 感嘆文
- 原型不定詞
- 仮定法
- 現在完了進行形
です。
特に仮定法は中学生には難しく感じるでしょう。
そして、文法の出る順番も変わりました。
一つ一つ習っていくのではなく、会話や物語文の中に、色々出てきて、その都度覚えるような形です。
例えば過去形は、規則変化をまず習って、それから不規則変化を習うということではなくなりました。
いきなり不規則変化をする動詞がバンバン出てきます。
中1の最初の単元に命令文や助動詞や受動態が盛り込まれています。
言語だから理解より慣れろという感じでしょうか。
難化する学校のテストと、低下する平均点
教科書が難しくなれば当然、学校の定期テストも難しくなっています。
文章が長いのにも関わらず、教科書の本文ではない初見の文章が出ます。
当然テストの平均点が下がるのですが、平均点が30点台や40点台の学校も数多くあります。
私の住んでいる学区の公立中学校の中1の2学期の中間テストでも、平均点は30点台でした。
実力テストや模試の点数ではありません。
普段の授業がわかっているかどうかを試す、定期テストの平均点です。
うちの子はどうする?対応策はある?
ではクラスで80点以上とっている生徒がいないかといえば、そんなことはありません。
そういう生徒がどんな勉強をしているのかを見てみると、やはり「小学校の英語」を科目としてしっかり勉強してきていると言えるでしょう。
塾に頼るわけではありませんが、小学校時代から塾に行かせるのもひとつの手です。
ただ、英会話との違いに気を付けてください。
英会話は話すほうです。
今の四技能を伸ばすという方針は、実際にはできているとはいえず、まだまだ学校は書くほうや文法に偏っています。
ですから、英会話教室に通っていれば中学の英語で点数がとれるかというと、必ずしもそうではない場合もあるんですね。
ただ、英検を取得しようなどという際には、やはり英会話は役立ちます。
英検も、取得していれば高校入試で有利になる学校もありますので、できるなら勧めたいものですね。
まとめ
中学校の英語がどれくらい難しくなったか、大まかにでも伝わったでしょうか。
単語量が増え、高校で習っていた文法が中学校で習うようになり、聞く・話す・読む・書くという四つのスキルが求められているのです。
この英語の難化についていける生徒はきっと、卒業してからも英語を使ったりさらに勉強したりとなることでしょう。
国際社会ではばたく人材を作るためには、この教科書改訂は必要な痛みなのかもしれません。